ドクターショッピングの人、いますよねぇ。
過去に何人もそういう人達を診察してきました。たいてい、自身の考えを曲げない人、すなわち頑固な人です。彼らは、患者自身の考え(実際正否は別として)が間違っていないことを証明して欲しいだけなんです。あるいは、不安の塊の人でしょうか。病状について懇切丁寧にお話して、治療方針を立てて、その倍では大変喜ばれて、「こんな説明してくれる先生は、初めてです!!」なんて言ってくれるのですが、数回通院後にピタリと受診しなくなります。
もちろん、中には、本当に難解な疾患のため、診断がつかず、クリニック・病院をさまよう人ももちろんいます。
最近は、「この人、ドクターショッピングやろうなぁ」と直感的に思えば、検査をして、あとは、その人の考え通りに、話を進めてあげるようにしています。そういう人に対して、「この治療が一番効果があります」と説明しても、それをたいていは受け入れません(表面的には受け入れる)。一生懸命話すだけ無駄なので、要点をかいつまんで説明し、「経過を見ましょうね」と言って経過観察とします。当然、再診予約はせず、その人の気の向くままにしてあげるのです。
そして、当院を後にした患者は、私の説明した病状・治療のほんのごく一部を理解(あるいは都合の良いように解釈)しただけで、他のクリニック・病院へ受診するのです。そこの先生の話と、私の話が少しでも乖離していると、ますます不安が増大し、さらに、別の医療機関に行って、確認したくなるのです。
真面目な医師ほど、「なんでこの人、理解してくれないだろう」「なんでこの人再診しないんだろう」と思うでしょうが、彼らはジプシーなのです。放っておきましょう。それが彼らにとっても幸せなのです。