権利意識・個人情報・少子化・核家族化

 昨今は、個人の権利意識が強すぎて、ギスギスしがちな世の中です。

 医療現場においては、「絶対治る薬をくれ!」、「医者が治して当然!」、「予約制なんだから、1秒も待たせるのはおかしい!」等、無理難題・無茶苦茶なことをおっしゃる方、診察中に足を組んだままの方、子供の付き添いで来たのに診察室で会釈することもなく終始無言の方ガムを噛んだままの方、医者と他のスタッフで、態度が180度変わる方、予約したにもかかわらず来院しない方など、いろんな方が日々来院します。

  少子化・核家族化が進んだために、一般的な常識を知らずに育ってしまう人が多くなったようです。 少子化・核家族化とは無縁と思われるご高齢の方の中にも、フレンドリーの度が過ぎて、初診時にもかかわらず「先生は何歳ですか?」とか「先生開業したら儲かるでしょうね!」など、非常識な質問をする方もいます。

 院内で宗教活動をされる患者も過去にいました。「先生の家、あそこでしょ!豪邸だわ!!」と、皆の前で発言した人もいました。どこで仕入れた情報か分かりませんが、おそらくカローラも医者が乗っていればベンツに見えてしまう目をお持ちなんでしょう。

 30代、40代の方で、職業を聞いても教えてくれない、過去の既往を聞いても一言二言しか言わない患者もいます。個人情報の開示をかたくなに拒む人達です。「あんた個人に、まったく興味ねぇよ!」と本心では言いたくなります。患者背景を理解していないと、治療や指導が十分できないことが多くあるので、聞いているだけなのです。最終的にほとんど情報が得られない時は、医師として当たり障りの無い治療をするだけなので、結局、その人は損をしていることになりますよね。

 「触らぬ神に祟りなし」すなわち、医師としての仕事だけ淡々と行えば良いという気持ちと、「義を見てせざる勇無きなり」すなわち、この人のこれからの人生のためにも、細かいことでも指導すべきじゃないかという気持ちを、両立させながら、日々診療しています。しかし、「出しゃばり過ぎず、言うべき時は言う」、この匙加減がなかなか難しいのです。後者の方がよっぽど気楽でしょうねぇ。

2019年02月06日