開業しての雑感や、後悔について・・・

 このHPを見ていただいている勤務医の先生から、先日、ご質問がありました。こんな愚痴だらけのHPにもかかわらず、ご覧いただいていることに感謝いたします。

 さっそく、そのご質問は、「開業しての雑感」「開業して後悔していないか?」という内容です。

 まず、開業しての雑感ですが、開業して約7年経過した現在では、開業当初の不安な気持ちや、赤字経営のこと、スタッフトラブル等は、遠い昔話となりました(笑)。結論を申し上げますと、「後悔はありません!」むしろ、気楽と言いますか、自分のペースで仕事ができるということが開業の最大の強みでしょうか。

 当時の細かい内容や愚痴は、このHPに記載していますが、私の記憶に残らずとも、記録していることで、今後、開業をお考えになっている勤務医の先生方のお役に立てることができれば大変うれしく思います。

 今となっては、昔話ですが、開業直後~半年後は、「なぜ、開業してしまったのだろう?」と毎日のように悩んでおりました。医療行為自体の悩みは、何らありません。レセプトも、ある程度勤務医時代に知っていれば、それほど悩みません。しかし、スタッフの雇用や給与問題、赤字の問題、給与計算、各種事務手続き等、いろいろ院長がやるべきことが多く、さらには、それぞれが1つ1つではなく、たいてい連動して起きるのです。

 例えば、スタッフ1名が辞めることになった場合、自己都合退職であれば、退職届を提出してもらいます。退職届が無いと、後々、その辞めたスタッフから「不当解雇された」と訴えられる可能性があります。その後、ハローワークへ出向き、退職の被保険者資格喪失届や離職証明書等を提出します(今はオンラインで可能かな)。必要あれば、ハローワークで次の募集もする必要があります。

 その後、健康保険の資格喪失の手続きもあります。源泉徴収票の作成もありますね。また、早く、新しいスタッフが必要なのに、誰も応募してこない場合は、残っているスタッフに仕事のしわ寄せが来ます。場合によっては、次々と退職していく可能性があります。

 大きい病院ならばともかく、小さいクリニックでは、人手不足は大変深刻な問題なのです。

 もちろん、上述の事務作業に関しては、事務長を雇い一任する先生もいらっしゃると思いますが、事務長を雇用する費用もかかりますし、しっかり院長の右腕として働いてくれるかも分かりません。身近にいる先輩開業Drの話では、事務長が経費と称して、クリニックのお金を横領していたので、裁判になったとのこと・・・。

 事務長と言っても、一人の人間ですから、気のゆるみや慢心もあって、とんでもないことを仕出かす人物もいるということは忘れてはいけないでしょうねぇ。

 開業した立地によっては、開業直後から、黒字のところもあるでしょう。しかし、街中で開業ならば、競合も多いでしょうから、半年~1年は赤字を覚悟する必要がありますね。赤字の期間は、患者やスタッフに、院長自身が負のオーラを放っているのです。そういう時って、人って簡単に離れていきます。ドーンと構えて、やるしかないと思います。

 黒字化すれば、気持ちに余裕ができます。スタッフを新規で雇う際も、無料のハローワークやHP掲載も良いのですが、時間がかかるので、費用はもちろんかかりますが、転職業者に依頼して、サクッと採用します。

 私は、当初から、ほぼ全部のことを自分でやってきたので、各事務作業がどの程度のモノで、どれを人に任せた方が、タイパ・コスパが良いか、分かります!

 例えば、税理士は、必須ですね。これは、タイパ・コスパのみならず、税務調査の時も味方にプロがいることで安心感も得られるし、対策も取ることができますから。税理士選びは、他の開業しているドクターから聞くのが一番でしょう。医業を多く扱っているところじゃないと、ロクなアドバイスももらえないですからねぇ。

 社労士は、余裕があれば、契約しても良いかもしれません。給与計算してくれるようです。これは持論ですが、給与計算でも、人間ですから、計算ミスすることもあると思います。月にいくらか払って、ミスされるくらいならば、自分で給与計算ソフトを導入して、それで半自動で、給与計算する方が、ストレスが少なくて済みます。私は、面倒なので、やっていませんが、雇用助成金等の申請も社労士に依頼することができます。

 弁護士も、余裕があれば、契約しても良いでしょうが、きっちり医療を提供していれば、患者とのトラブルは、無いですから。もし、必要な場合は、都度依頼すればいいと思います。


 最後に、開業のデメリットは、「院長が体調不良の時に、どうするか?」ですね。常勤スタッフは喜びます。パートタイマーの方は、困ります。経営者としては、休診にすればするほど黒字が減るのですねぇ。よって、病気やケガには注意です。もちろん、知人ドクターに代診依頼するのも良いかもしれませんが、私自身は、人に依頼するよりも、思い切って休診にしたい人間です。同じ整形外科専門医だとしても、治療方針が微妙に違うこともありますので・・・。

2024年03月13日